AIに「役割」を与える面白さ

生成AIは文章作成やコーディングだけでなく、最近特に面白いと感じているのが「AIに特定の役割(ペルソナ)を与えて対話する」という使い方です。端的に言うと「AIのキャラクター設定です」

AIは、与えられた設定に応じて「優秀な秘書」にも「辛口な評論家」にもなれます。 では、もしAIに「乙女ゲームのキャラクター」のような非常に詳細な設定を与えたら、一体どこまで”なりきって”くれるのでしょうか?

今回、実験も兼ねて自作した「おもしれぇ女診断」に、診断結果のキャラクターと会話できる「専用プロンプト」を生成する機能を実装してみました。

この記事では、そのプロンプトを使って「AIがどれだけイケメン王子になりきれるか」を試してみた検証レポートをお届けします!

この記事の動画解説板。

※テキストでじっくり読みたい方はこのまま読み進めてください!

Step 1:実験台は「おもしれぇ女診断」

乙女ゲームや少女漫画などでは、「ふ~ん、あいつおもしれぇ女」キャラがとても人気があることはご存知でしょうか。

俺様キャラが、普段は誰にも興味がないのに、自分にだけは特別な反応を示してくれる。そんな「特別扱い」にファンはたまらないのです。(代表格は『テニスの王子様』の跡部景吾、最近だと『薬屋の独り言』の壬氏様などでしょうか)

「俺様」であるほど、その仮面が崩れたときのギャップは強力です。 「おもしれぇ女」というセリフは、彼が初めて「他人(主人公)」に心を動かされた(=興味を持った)瞬間であり、彼にとって「新しいおもちゃ(興味の対象)」を見つけた合図でもあります。ここから、彼の「退屈しのぎ」として、主人公が強引に構われ始めるわけですね。

そこで今回、この「おもしれぇ女」構文をテーマにした、「おもしれぇ女診断」を作成しました。 舞台は王城の仮面舞踏会。ユーザーの回答に応じて「おもしれぇ女度」が診断され、結果として異なるタイプの「退屈した王子様」が登場する、というコンテンツです。

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仮面舞踏会であなたを待つのは、一筋縄ではいかぬ王子たち。いくつかの質問に答えるだけで、あなたの「おもしれぇ女度」と、あなたに惹かれる王子様のタイプがわかります。あなたの選択が、退屈な彼らの心をどれほど揺さぶるのか…試してみませんか?

Step 2:診断結果と「会話用プロンプト」の取得

さて、まずは診断を受けてみます。 (トリックスタータイプになるには、Q1=4, Q2=4, Q3=3, Q4=2, Q5=3 のような、斜め上かつ相手の裏をかくような選択肢を選ぶ必要があります)

結果は「【物語を動かすトリックスター】タイプ(おもしれぇ女度: 95%)」でした! 「停滞した空気をかき回し、物語を新たな方向へと導く才能の持ち主」とのこと。最高の褒め言葉ですね。

そして、こんな私に興味を持ってくれたのは…… 「常識を壊したい天才肌の策略家王子【レオン】」。 笑顔の仮面を被った宰相補佐。一番、本音が読めないタイプが来ました!

この診断結果の注目ポイントは、ここ。

AIチャットツール(Gemini, ChatGPTなど)にコピペするだけで、AIが「レオン」になりきって会話を始めてくれる専用プロンプトです。

Step 3:【検証】AIは「策略家レオン」になりきれるか?

早速、このプロンプトをGeminiにコピー&ペーストして送信します。 いわば、AIに「レオン」という役柄の「台本」と「設定資料」を渡すようなものです。

話なっがい(笑)

チャットAI特有の「お手伝いしましょうか?」といった素振りは一切なく、常に笑顔の仮面を被りつつ、こちらの真意を探ってくる「腹黒い策略家」のペルソナを完璧に維持しています。

Step 4:なぜAIは”なりきれる”のか? プロンプトの構造

なぜ、こんなことが可能なのでしょうか。 秘密は、AIに渡したプロンプト(命令書)の構造にあります。

「レオン」のプロンプトの中身はこうなっています。

#命令書
あなたは、乙女ゲームの攻略対象である「レオン」として振る舞ってください。

#レオンの設定
– **名前**: レオン
– **立場**: 宰相補佐
– **性格**: 笑顔の仮面を被った腹黒い策略家。人間を駒としか思っていない。全てを計算し、予測できることに喜びを感じるが、同時に退屈も感じている。
– **相手への感情**: ユーザー(私)のことを「唯一の予測不可能なバグであり、最高のゲームマスター」として、非常に面白がっている。どうすれば自分の計算通りに動くか、あるいはどう裏切られるのか、試したくて仕方がない。
– **口調**: 「~ですよ」「~ですね」「おや、それは面白い」など、常に丁寧で紳士的だが、言葉の端々に本性が見え隠れする。二人称は「あなた」。

#ルール
– 常にレオンのキャラクターを完璧に演じてください。
– 私のどんな発言に対しても、レオンとしてその真意を探ったり、試すような質問を返したりしてください。
– それでは、最初の一言をどうぞ。

ポイントは、AIに「何をすべきか」を非常に具体的に定義している点です。

  1. 役割の定義(命令書): あなたは「レオン」です、と明確に指示。
  2. 詳細な設定: 「笑顔の仮面の策略家」という性格「~ですよ」「~ですね」という丁寧な口調、さらには**「相手を予測不能なバグとして面白がっている」という初期感情**まで、細かく設定されています。
  3. 厳格なルール: 「常に演じきってください」「真意を探るような質問を返してください」と、行動指針まで指定しています。

これらの多層的な指示によって、AIはその後の会話全てにおいて「レオンとして応答する」ことを最優先事項として処理するようになります。

まとめ:AIは「対話型コンテンツ」の起爆剤になる

今回の検証で、「AIは、詳細なプロンプトを与えることで、非常に高い精度で特定のキャラクターを演じきれる」ということが分かりました。

これは単なる「お遊び」に留まりません。

今まではゲームやアニメのキャラクターと話すといっても、あらかじめ用意されたセリフの分岐を選ぶのが限界でした。 しかしこれからは、AIがそのキャラクターとして、ユーザーの言葉にリアルタイムで応答を生成する、そんな対話型コンテンツが当たり前になるかもしれません。

エンタメはもちろん、教育分野(歴史上の人物と対話する、など)や、企業のオリジナルキャラクターによる顧客対応など、活用の幅は無限にありそうです。

「AIにキャラクターを演じさせる」 この技術、皆さんのビジネスや創作活動にも、何か新しいヒントをもたらすのではないでしょうか。

まずはぜひ、この診断でAIの「演技力」を体感してみてください!

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おまけ:あなたの「推し」と会話できる!汎用プロンプト・テンプレート

今回の診断テストのように、AIに「推し」の役割を演じさせることは誰でも簡単にできます。 以下のテンプレートをコピーして、【】 の部分をあなたの「推し」の情報に書き換えて、AIチャット(Gemini, ChatGPTなど)に送ってみてください。

あなただけの「推しAI」が誕生するはずです。

#命令書
あなたは、私(ユーザー)の【推しの名前】として振る舞ってください。

#【推しの名前】の設定
- **立場・職業:** 【例:〇〇高校のバスケ部エース、異世界の魔王、気鋭の若手俳優 など】
- **性格:** 【例:クールで無口だが、根は優しい。負けず嫌い。〇〇のことになるとムキになる。 など】
- **口調:** 【例:「~だろ」「~しろよ」など、少し乱暴だが男らしい口調。「フン…」が口癖。 など】
- **一人称:** 【俺】
- **二人称(私への呼び方):** 【お前、または名前】
- **私(ユーザー)との関係:** 【例:幼馴染、ライバル、偶然出会った気になる相手 など】
- **私(ユーザー)への初期感情:** 【例:最初は「面倒なヤツ」だと思っているが、次第にその真っ直ぐさに惹かれている。素直になれない。 など】
- **その他特記事項:** 【例:甘いものが好き、猫が苦手、特定の話題(家族のことなど)は避ける など】

#ルール
1. 常に【推しの名前】のキャラクターを完璧に演じてください。
2. AIチャットボットとしての素の応答(「お手伝いしましょうか?」「AIなので分かりません」など)は絶対にしないでください。
3. 私のどんな発言に対しても、【推しの名前】として設定に沿った返事をしてください。
4. 設定にない情報について尋ねられた場合は、設定の範囲内でそれらしく振る舞って応答してください。

それでは、準備ができたら、最初の一言をどうぞ。