「話題の『Gemini Nano Banana Pro』を使えば、誰でも一瞬でプロ級のチラシが作れる!」 ……そんな甘い言葉を信じて生成ボタンを押したものの、出来上がった画像を見て「なんか……ダサくない?」と首をかしげた経験はありませんか?

決してあなたのセンスが悪いわけでも、プロンプト入力が下手なわけでもありません。実は、生成AIには「プロのデザイナーなら絶対にやらない」ある特有のクセがあるのです。

この記事では、現役グラフィックデザイナーの視点から、なぜAIで作ったチラシが「スーパーの安売り広告」のように安っぽくなってしまうのか、その3つの致命的な理由を解説します。 理由さえ分かれば、AIは「使えないツール」から「最強のアシスタント」に変わります。今日からできる「脱・ダサい」ためのディレクション術を、事例付きで持ち帰ってください。

「話題の『Gemini Nano Banana Pro』を使えば、プロ級のチラシが爆速で作れる!」……そう聞いて試してみたものの、出来上がったのは「なんだかダサい」「素人感丸出し」の画像ではありませんでしたか?

巷の噂は嘘?Gemini Nano Banana Proでも「ダサいチラシ」ができる現実

SNSやYouTubeでは「AIでプロ級デザインが30秒で!」といった景気の良い言葉が踊っていますが、現場のデザイナーから言わせれば、それは半分正解で半分嘘です。

確かにAIは、美しい風景画やリアルな人物写真を作るのは得意です。しかし、「情報を整理して伝える」という『デザイン』の領域においては、まだ新入社員レベルと言わざるを得ません。

「プロ級のデザインが作れる」の大きな誤解

多くの人が「AIにお任せ」すれば、Appleの広告のような洗練されたデザインが出てくると思っています。しかし、AIが学習しているデータの中には、プロの作品だけでなく、素人が作ったパワーポイントの資料や、街中の安っぽい看板の画像も大量に含まれています。

AIはそれらを区別せず「確率的にありそうな画像」を生成するため、明確に指示しない限り、「世の中に最もあふれている=無難で安っぽいデザイン」が出力されてしまうのです。

実際にありがちな「ダサい生成事例」

実際にGemini Nano Banana Proで、何も考えずに指示して生成された画像を見てみましょう。

  • 文字が詰め込みすぎで暑苦しい
  • 謎の極太ゴシック体ですべて強調されている
  • 原色に近い派手な色が多用され、目がチカチカする
  • 余白がなく、情報の優先順位がわからない

これらはすべて、AIが「目立たせよう」と頑張りすぎた結果の空回りです。まさに「張り切りすぎた素人のデザイン」そのものですよね。

AIが生成したポスターを添削したもの。

ポスターの一番伝えたい「AI」を、大胆に文字の大きさを変更付けることでメリハリができ、すっきりとしたデザインにしました。日付・場所・参加費の書き方も統一することで一気に素人感が低くなったのではないでしょうか。

デザイナーが解説!生成AIのチラシが「なんかダサい」3つの致命的理由

理由1、学習データは「プロの作品」だけではないから

AIはネット上の全画像を学習している。そこには素人が作ったパワポチラシや、低品質なバナーも含まれており、AIはそれらを「正解」として混ぜて出力してしまう。

理由2、AIは「雰囲気」重視で「可読性」を無視する

AIはピクセルの並びを予測しているだけで、文字の意味を読んでいない。「それっぽい雰囲気」を作るために、過剰な装飾や、無意味なグラデーションを入れてしまいがち。

理由3、手っ取り早い「強調」=「極太ゴシック」というバイアス

多くの素人デザインが「目立たせる=太いゴシックの赤文字」としているため、AIもそれを学習し、繊細さのない「主張の激しい」デザインを出してくる。

Nano Banana Proで作った画像サンプル
Nano Banana Proで作った画像サンプル

ダサい理由を知れば、Geminiは最強のパートナーになる

ここまで、「なぜAIで作ったチラシはダサくなるのか」を散々語ってきましたが、これは決して「Gemini Nano Banana Proは使えない」と言いたいわけではありません。

むしろ、「AIの弱点(=ダサくなる理由)」を知ったあなたこそ、AIを誰よりも使いこなせると言えます。なぜなら、もうあなたは「思考停止で丸投げ」をしないからです。

100点の完成品ではなく「120点の素材」を作らせよう

「ダサい理由」がわかれば、対策はシンプルです。AIに苦手な「文字組み」や「レイアウトの微調整」をさせなければいいのです。

  • × 悪い使い手:「かっこいいチラシを全部作って」と丸投げする
    • → 結果:AIが張り切りすぎて、ゴシック体だらけのダサい画像になる。
  • 賢い使い手:「最高にシズル感のあるハンバーガーの写真だけ作って」と指示する
    • → 結果:プロのカメラマン顔負けの素材が手に入り、あとはCanvaで文字を乗せるだけ。

このように、Geminiを「デザイナー」としてではなく、「超優秀な素材職人」として雇う感覚に切り替えてみてください。

あなたは「オペレーター」ではなく「クリエイティブ・ディレクター」

AI時代において、私たちの役割は変わります。自分で手を動かしてゼロから絵を描く必要はありません。その代わり、AIが生成してきた無数のアウトプットの中から、「これはイケてる」「これはダサい」をジャッジする『審美眼』が求められます。

今日、AIが陥りがちな「ダサさ」の正体を学んだあなたは、すでにその審美眼への第一歩を踏み出しています。

「AI × あなたのセンス」。 この掛け合わせこそが、業務効率化とクオリティを両立させる最強のチームです。まずは明日、「文字なし・背景のみ」の生成から始めてみませんか? きっと、そのクオリティの高さに驚くはずです。